描き方入門

ドット絵の岩と山の描き方 影と空気遠近法

更新: 高橋 ドット
描き方入門

ドット絵の岩と山の描き方 影と空気遠近法

岩と山のドット絵は、背景の自然物を描くうえで対極の発想が必要になる題材である。岩は質感とコントラストを積み上げて近さを出し、山は空気遠近法で情報を削って遠さを作るため、同じ自然物でも手順が正反対になります。

岩と山のドット絵は、背景の自然物を描くうえで対極の発想が必要になる題材である。
岩は質感とコントラストを積み上げて近さを出し、山は空気遠近法で情報を削って遠さを作るため、同じ自然物でも手順が正反対になります。
岩パートでは、24x24キャンバスに左上光源を固定し、シルエット、明るい影と暗い影、質感、固有色、ハイライトの順で組み立てると、ゴツゴツした立体感が狙いやすいでしょう。
薄い影で止めた岩が、一段濃い影に塗り直した瞬間、ドットの並びが変わって面が立ち上がる感覚は、制作の手応えとして強く残ります。
山パートでは、描き込むほど良くなるのではなく、奥へ行くほど彩度とコントラストを落として、手前・中景・遠景を3層の色で分けるほうが奥行きが出ます。
近景は足し算、遠景は引き算です。
最後に、岩がのっぺりする原因は影が薄いこと、山が一体化する原因は奥を描き込みすぎることだと整理し、どこを直せばよいかまで分かる形で進めます。

岩と山を描く前の準備 — キャンバスと光源の決め方

岩と山は、同じ自然物でも描き方の設計思想が逆です。
岩は近景として質感とコントラストを積み上げて「近さ」を出し、山は遠景として情報を削って空気遠近法で「遠さ」を作ります。
ここを最初に分けておくと、以降の工程で迷いにくくなります。

近景の岩と遠景の山では描き方が逆になる

岩は足し算、山は引き算です。
岩ではシルエットを固めたあと、影で面を分け、質感を少しずつ載せて固有色とハイライトで締めます。
対して山は描き込みを増やすほど奥行きが消えやすく、手前・中景・遠景を3層ほどに分けて彩度とコントラストを落としていくほうが、空との分離がきれいに決まります。
近景の岩に必要なのは情報密度、遠景の山に必要なのは整理である、と覚えると扱いやすいでしょう。

岩の練習では、明るい影と暗い影をはっきり分けるのが効きます。
薄い影を広げると遠目で消えてしまい、せっかくの凹凸がのっぺり見えます。
ヒビや欠け、ツヤの見せ場は明るい面に集め、暗い影は影色だけでまとめると、限られたドット数でも岩らしい密度が出ます。
山も同じで、最奥ほど空の青に寄せ、前に出したい層だけを少しだけ濃くすると、画面全体が呼吸し始めます。

岩は24x24から始めると質感を載せやすい

岩の練習には24x24がちょうどいい大きさです。
16x16では角や割れ目を置く余白が狭く、シルエットと影だけで終わりやすいのに対し、32x32以上になると今度は面積が広がり、描き込みの密度が足りない部分が目立ちやすくなります。
中間の24x24なら、立体感と作業量の釣り合いが取りやすいのです。

実際、32x32で岩に挑んだときは、つい情報を入れすぎて破綻しました。
細かなヒビや質感を足すほど良くなる気がしていたのに、完成に近づくほど面の向きが読めなくなり、岩の芯がぼやけてしまったのです。
そこで24x24へ落とすと、描ける場所が自然に絞られ、シルエット、影、質感の順に何を残すか判断しやすくなりました。
描ける量をあえて減らすことが、立体を掴む近道になる場面は多いです。

サイズ向いていることつまずきやすい点
16x16形の単純化、記号化角や質感を載せる余白が少ない
24x24岩の練習、立体感の確認省略と描き込みの見極めが必要
32x32以上詳細な形状表現情報量が増え、ごまかしが効きにくい

岩のパレットも、まずは固有色を軸に明暗4〜5色で組むと扱いやすいです。
ベース、暗い影、濃い影、明るい面、ハイライトの順に分けておけば、色数が増えすぎず、面の切り替わりも明快になります。
グレースケール先行で明暗を決めてから色を載せると、最暗部を黒に近いところまで落としやすく、締まりのある岩に寄せやすいでしょう。

最初に光源を1方向へ固定する

描き始める前に光源を1方向へ固定するのが基本です。
左上、右上のどちらでも構いませんが、決めた向きを岩・山・画面全体で統一しないと、影が散って立体感が壊れます。
とくに輪郭を均等に縁取ってしまうピロー・シェーディングは、光源不明のまま作業したときに起こりやすい失敗です。

以前、光源を決めずに影を置き始めたことがあります。
すると影が全方向に散り、どこを向いた岩なのか分からなくなりました。
そこで左上光源に決め直し、影を片側へ寄せていくと、面の向きが一気に読み取れるようになり、同じ形でも急に岩らしく見えたのです。
迷ったらまず光を決める、これは山でも同じです。
遠景でも光の向きがそろっているだけで、層ごとのまとまりが崩れません。

ℹ️ Note

影は薄くぼかすより、置く場所を絞って濃く入れたほうが立体感が出ます。ドット絵では、光源の整理がそのまま絵の整理になるからです。

岩の描き方ステップ1 — シルエットで形を作る

岩は、まず単色のシルエットで形だけを決めると一気に描きやすくなります。
色は後からいくらでも乗せ替えられるので、この段階では塗りやすさを優先し、3分程度で輪郭を固める意識が向いています。
丸めるより、面の切り替わりを早く決めたほうが、のちの影や質感も置きやすいのです。

単色でスピード優先に形を取る

色選びで手が止まる場面はよくありますが、そこで止まるより、まずは何色でもいいから塗ってしまうほうが前に進みます。
シルエット段階では固有色の説得力より、岩として読める大きな塊感が優先です。
単色にしておくと、明暗の差だけで形の良し悪しを見やすくなり、後で色を差し替えても破綻しにくくなります。
実際、迷っていた色を脇に置いて3分で形だけ出すようにした途端、制作の立ち上がりがかなり軽くなります。

面の境目に角を作ってゴツゴツ感を出す

輪郭を丸く取ると、石ころや饅頭のように見えやすいです。
岩らしさは、なだらかな曲線ではなく、面と面が切り替わる場所にある角の連なりから生まれます。
辺を直線的に引き直し、面の境目にドットを打って小さな鋭角を増やすと、シルエットだけでも硬さと重さが立ちます。
丸い輪郭で始めたものが、角を足した瞬間に一気に岩へ変わった経験があるなら、その差はすぐ思い出せるはずです。
直線的な辺と鋭角を混ぜることが、最初の説得力になります。

左右非対称にすると自然な岩になる

左右対称に整えると、形はきれいでも人工物のような印象が出やすいです。
現実の岩は対称ではないので、辺の長さや角の数をあえて崩し、片側だけ少し張り出させるだけでも自然さが増します。
左右のバランスを完全にはそろえず、重心が少しずれたような形にすると、地面の上に積もった感じが出てきます。
最後は少し引いて見て、全体が岩に見えるかを確認しましょう。
ここで形が決まっていなければ、影や質感をどれだけ足しても岩らしさは生まれません。

岩の描き方ステップ2 — 影で立体感を出す

影は岩の形を見せるための最後の仕上げです。
薄く広げるより、明るい影と暗い影を分けて段差を作るほうが、面の向きや奥行きが読み取りやすくなります。
まず影の置き方を決め、次に濃さを足す流れにすると、塊としての重さが出ます。

明るい影・暗い影の2色で段階を作る

岩に影を入れるときは、1色で全部を塗りつぶさず、まず大きく明るい影を置き、その奥に暗い影を重ねると立体が生まれます。
面の切り替わりがはっきりするため、平らな面がどこで折れているかが見えやすくなるからです。
実際に薄い影だけで止めていた岩は、暗い影を1色追加した瞬間に塊として立ち上がりました。
塗り足したドットが最も奥まったくぼみや接地面の近くに集まると、目はそこを深さとして受け取りやすくなります。

影は思い切って濃く入れる

初心者がためらいやすいのは、影を薄くしすぎることです。
遠目では淡い差が消えやすく、せっかく入れた陰が輪郭のゆらぎに埋もれて、のっぺりした印象だけが残ります。
そこで、一段濃いと感じるくらいまで色を落としてみましょう。
岩は布や肌と違って硬い質感を持つので、影もやや強めのほうが素材感が出ます。
迷ったら、影の面積を増やすより先に濃度を上げるのがおすすめです。
そうすると、面の傾きが少ない場所と急に落ちる場所の差が見え、塊の説得力が増します。

輪郭を均等に囲まない

影は光源の反対側に寄せるのが基本です。
左上から光が来るなら右下を暗くし、明るい側の縁は残すと、どちらから光を受けているかがすぐ伝わります。
輪郭を均等にぐるりと囲むピロー・シェーディングは、どの方向にも同じだけ暗さが乗るため、光源がぼやけて立体感を打ち消してしまいます。
実際、輪郭を一周させてしまった岩はのっぺり見えましたが、影を右下へ寄せ直すだけで、光を受ける上面と沈む下面の差が戻りました。
面ごとに明るい面・中間の面・暗い面を分けると、単なる輪郭線ではなく、重なった石の塊として読めるようになります。

岩の描き方ステップ3 — 質感とディザリングでゴツゴツ感を加える

岩肌の質感は、色数を増やさなくてもドットの置き方だけで十分に変化を出せます。
濃い面は密に塗り、薄い面ほど点を散らしていくと、面の明暗がそのままザラつきへ変わるからです。
さらに、ヒビやツヤのような見せ場は明るい側へ集めると、暗部が整理されて岩全体の輪郭も読みやすくなります。

ドット密度でザラつきを作る

岩肌の荒さは、面の中にドットをどう散らすかで決まります。
濃い部分をほぼ塗りつぶしにして、薄い部分では点の間隔を少しずつ空けると、限られた色数でも表面の凹凸が立ち上がるのです。
逆に、全体へ同じ密度で点を置くと平板になりやすく、岩というより砂粒の散布に見えてしまいます。
面ごとに密度差を付ける意識が、ゴツゴツ感を最短で作る近道でしょう。

大きな岩を描くときほど、この密度差は効きます。
暗い面は情報量を抑え、明るい面にだけ細かな揺らぎを置くと、視線が形の起伏を追いやすくなるからです。
ドットはただ増やせばよいわけではなく、塊としてまとまっているほど質感が自然に見える。
小さなクラスターを意識して配置してみてください。

ディザリングは隣接2色だけに使う

ディザリングは便利ですが、使う場所を誤るとすぐに泥っぽくなります。
濃い影と明るい面のように離れた明度同士へ広げると、色の境界がにごってノイズの膜のように見えるためです。
実際、影色と中間色の間にだけ絞って使うように変えたところ、面の切り替わりが締まり、岩の輪郭まで整って見えるようになりました。
ポイントは、近い明度の2色を細かくなじませることにあります。

ディザリングは補助線ではなく、境目をやわらげるための道具だと考えると扱いやすいです。
明度差が大きい場所で無理に使うと、何を混ぜたいのか分からない雑味になります。
隣接する2色の間に限定し、面の流れを壊さない範囲だけで使う。
これだけで質感は十分締まります。
おすすめです。

ヒビ・ツヤは明るい面に集中させる

ヒビやツヤのような『魅せ』の要素は、明るい面に置いたほうが強く働きます。
暗い影の中にまで細部を詰め込むと、何が表面の割れで何が影なのか判別しづらくなり、岩の情報が散ってしまうからです。
暗部は影色だけで整理し、見せたいディテールを明るい側へ寄せると、視線の着地点がはっきりします。
見せ場を集中させるほど、少ない色でも岩はリッチに見えるのです。

以前は影の中にもヒビを描き込み、せっかくの形が自分でも追えなくなりました。
そこで、割れ目を明るい面に寄せて描き直したところ、表面の方向感がはっきりし、ツヤも素直に読めるようになったのです。
暗部を削るのは勇気が要りますが、そのぶん見せたい情報が立ち上がる。
ここは試してみてください。

岩の描き方ステップ4 — 固有色とハイライトで仕上げる

グレースケールで明暗を固めてから固有色を載せると、岩の立体感を崩さずに色決めを進められます。
全面を最初から色で埋めると、明暗の差より色味が先に目へ入ってしまい、面の向きが読みにくくなるからです。
色選びで迷う場面ほど、この順番が効きます。

グレースケール先行法で明暗を固める

まずグレーだけで岩を完成させると、影の位置と面の向きがはっきりします。
明暗の骨組みが見えていれば、その上に色を重ねても形が崩れにくいです。
全面を一度に色付けして立体感が消えた失敗は、明暗の設計を色に委ねすぎたことが原因でした。
そこでグレーで仕上げてから色を載せる流れに切り替えると、迷いが減って作業も早くなります。

この方法の強みは、色相を後から調整しても陰影の説得力が残る点にあります。
たとえば紫の岩でも、先に黒白の段差を決めておけば、赤みを足すか青みを寄せるかだけを考えればよくなるでしょう。
立体感を守る土台を先に作る、という考え方です。

固有色を境目と面に載せる

固有色は、面の中央からではなく境目や隅から載せると形を壊しにくいです。
紫の鉱石なら、まず彩度の高い紫を面同士がぶつかる線やくぼみに置き、そこから面の中へ広げていきます。
境目は素材の輪郭が集まる場所なので、色の情報を置いても構造が読みやすい。
逆に中央から塗ると、どこが折れ目でどこが平面か曖昧になりやすいです。

固有色を入れる段階でも、明暗の段差は崩さないようにします。
色を乗せた瞬間にすべて同じ明るさに見えてしまうと、岩はただの色面になります。
だから、明るい面は明るいまま、暗い面は暗いまま、色だけを差し替える意識が必要です。
固有色は形を説明するための化粧ではなく、すでにある明暗に意味を与える仕上げです。

ハイライトは頂点に少量だけ

最も暗い部分は、固有色そのものではなく黒に近い色まで明度を落とします。
紫の岩なら「黒寄りの紫」にしておくと、最暗部がきゅっと締まり、ほかの面が相対的に明るく見えるのです。
暗部に純粋な紫を残すと、暗いのか色が濃いだけなのかが曖昧になります。
黒に寄せることで、影としての役割が明確になります。

仕上げのハイライトは、光源側の角や頂点に明るい色を少量だけ置きます。
入れすぎると平面的に見えてしまうので、最も光が当たる1〜数ドットに絞るのがコツです。
ハイライトを欲張って広げたときは、岩の厚みが抜けてしまいました。
そこで頂点の数ドットまで削ると、張りのある立体が戻ったのです。
おすすめです。
光を置く場所を絞ってみてください。

山の描き方 — 空気遠近法で奥行きを出す

山の描き方では、岩と同じ感覚で細部を追わないことが出発点になります。
遠景の山はシルエットと最小限の陰影でまとめ、描き込みを減らしたぶんだけ奥へ引かせるのが空気遠近法の基本です。
細かい角や質感を足すほど前に出て見えるので、距離感を守るには引き算が効きます。

山は描き込まずシルエットで見せる

遠景の山に必要なのは、岩肌の説明ではなく大きな形の流れです。
稜線を追うときも、直線と緩いギザギザで十分で、岩のような細かな破片感まで入れると手前の物体と同じ強さになってしまいます。
実際、全部の山を同じ濃さで塗った状態では、前景と背景が団子状に潰れてしまいましたが、奥だけを薄くしてシルエット中心に変えると、急に画面の奥行きが立ち上がりました。
遠くほど情報量を落とす、そこが肝心です。

描き込みを減らすのは省略ではなく、視線の誘導でもあります。
手前の岩に質感があるなら、奥の山は「そこにある」と分かる程度でよく、むしろ細部を消すことで空との距離が伝わります。
稜線の上側を一段明るくして光の当たりを示せば、面を増やさなくても形は読み取れるでしょう。

遠いほど青く・薄く・低コントラストに

奥の山ほど彩度とコントラストを下げ、空の色、つまり青系へ寄せると距離がはっきりします。
これは大気越しに見える遠景の再現で、最奥をほぼ空と同じ色まで近づけると、山が空気に溶け込む感じが出るのです。
青みがかった遠景は、ただ色が冷たいのではなく、空間の厚みそのものを見せています。

ここで効くのは、色を濃くするより弱める判断です。
遠くの山を岩と同じ暗さで置くと、手前の塊とぶつかってしまいますが、コントラストを落とした薄い青に変えただけで、山の列が後ろへ下がって見えました。
派手さは減りますが、画面の呼吸はむしろ整う。

3層に分けて手前と奥の一体化を防ぐ

山は手前・中景・遠景の3層に分けると整理しやすくなります。
手前は濃く緑寄り、中景は中間、遠景は薄い青というように役割を分けると、層ごとの差が出て、前後の山が一体化して潰れるのを防げます。
色の違いは装飾ではなく、距離を見せるための設計です。

この分け方をしておくと、どの山にどれだけ情報を持たせるかも決めやすくなります。
手前には輪郭と陰影を残し、中景は少しまとめ、遠景は色面を中心にしていく流れです。
山の群れを一枚の壁に見せないための手段だと考えると分かりやすいでしょう。
3層に整理してみてください。

よくある失敗と対策 — 自然物でつまずくポイント

岩や山がのっぺり見える失敗は、色数を増やせば解決するわけではありません。
むしろ薄い影とグラデーション多用が輪郭をぼかし、何の塊か判別しにくくします。
まずは明るい面と暗い面の差をはっきり作り、影の設計で立体を先に決めるのが近道です。

影が薄くてのっぺりする

岩がのっぺりして塊に見えないときは、塗り込み不足ではなく、影の情報が弱すぎることが原因になっている場合が多いです。
薄い影に細かなグラデーションを重ねると、面の切り替わりが曖昧になり、観る側は形を拾えません。
実際、薄い影とグラデーションで何の岩か分からなくなった作品を、明るい影と暗い影の2色に絞って塗り直しただけで、面の向きが立ち上がり、岩の重さが戻ったことがあります。
色を増やすより、少ない色で差を強く出すほうが効く場面です。

光源不明のピロー・シェーディング

ピロー・シェーディングは、輪郭を均等に縁取るせいで光源がどこにも見えなくなるのが弱点です。
周囲を同じように暗くすると、物体の形より「線」で見せる印象が勝ち、安っぽさが出やすくなります。
光源は1方向に固定し、影を反対側へ寄せて片側を明確に暗くしましょう。
そうすると、岩のどの面が手前か、どこが張り出しているかが自然に伝わります。
ピロー・シェーディングを直すときは、輪郭をなぞる発想をいったん捨てるのがポイントです。

遠景を描き込みすぎて奥行きが消える

遠くの山が手前と一体化して奥行きが出ないのは、遠景を主役と同じ密度で描いてしまうからです。
輪郭の情報を増やし、しかも手前と同じ彩度で塗ると、距離差より情報量の近さが勝ってしまいます。
修正では、奥を色の塊として省略し、彩度を下げて青みを足すと距離が戻ります。
描き込みすぎた山並みを奥から順に整理し、要らない稜線を消していくと、空気の厚みまで見えやすくなりました。
遠景は説明する場所ではなく、奥に退かせる場所なのです。

質感が汚くノイズに見える場合も、原因は情報の増やし方にあります。
コントラストの強い色同士でディザリングを広げたり、孤立ドットを散らしたりすると、自然な粒感ではなく迷子ピクセルの集合に見えてしまいます。
隣接する近い2色だけにディザリングを限定し、不要な点を消すだけで、面の境界は保たれたまま表面だけが落ち着きます。
自然物は細部を足すほど良くなるとは限らず、削って残すほうが形は伝わるでしょう。

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高橋 ドット

ゲーム会社でドット絵グラフィッカーとして10年以上の経験を持つ。ファミコン・スーファミ時代のレトロゲームに影響を受け、現在はインディーゲームのアート制作を手がける。制作テクニックの体系化に情熱を持つ。

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